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いよいよ後半戦突入! ……その前に、アニメ「フレームアームズ・ガール」の、
あんなことやこんなことについて聞く
──まずは川口さんがアニメ「フレームアームズ・ガール」(以下、アニメ)の監督を務めることになった経緯を教えてください。
川口敬一郎(以下、川口) もともとこのアニメの仕事は、ゼクシズの社長から「川口さんが好きそうな仕事があるんだけど、監督候補として名前をあげていいか」と聞かれたのがきっかけだったんです。
当時、まだタイトルを教えてもらえなかったので最初は「まぁいいですよ」ぐらいのテンションだったんですが、しばらくしてその仕事がフレームアームズ・ガール(以下、FAガール)のアニメだと知って、これはぜひやりたいと思いました。
──すでにそのときにはFAガールについてはご存知だったんですね。
川口 ええ。最近は美少女アニメの仕事が多いのですが、もともとオモチャやプラモデルが好きで、ホビー系のアニメをやりたくてアニメ業界に入ったようなものなので、ゼクシズの社長には「とにかく超やりたいからコトブキヤさんに俺のことを売り込んでくれ!」とお願いしました。
千葉翔平(以下、千葉) ありがとうございます(笑)。
川口 アニメが良い反応をいただいているのでひとまずホッとしています。これで不評だったら目も当てられませんからね(笑)。
──ついにフレズヴェルクも登場し、クライマックスへ向けて大きく盛り上がってきましたよね。メーカーであるコトブキヤさんから見て、これまでのユーザーからの反応はいかがですか?
千葉 アニメが好評をいただいているおかげで、これまでプラモデルを楽しんでくれていた模型ファンだけでなく、プラモデルのことを知らなかったというアニメファンの方が商品を手にとってくれる機会が増えていると感じます。
──印象深かったユーザーの反応はどういったものでしょうか。
千葉 第1話の放映後「俺の家の轟雷が動かないんだけど」というコメントがあったのが面白かったです(笑)。あと、アニメ放送後の反応を見ていると、模型ファンの方がアニメから入ったファンの方へ、発売中のキットやアニメに登場した武器について解説しているんです。FAガールのコミュニティが、こうしてアニメを通して広がる様子はすごく興味深かったですね。
──ちなみに、模型メーカー側の立場として、アニメ化にあたって「こうしてほしい」という要望はあったのでしょうか。
千葉 もともとプラモデルとしてのFAガールはユーザーさんが自分たちで自由に、いろいろと設定や物語を考えて楽しめるようなシリーズ展開をしてきた商品なんです。ですから、コトブキヤとしてはその流れがより広がるようなアニメになれば、ということを監督にお願いしました。皆さんがアニメをきっかけに、いろいろと想像をふくらませてもらえるような作品にしてほしかったんです。
川口 その上でどの子もかわいく描いてほしい、そして暗い展開などは避けてほしいというお話はいただきましたね。すでにプラモデルや可動フィギュアとしていろいろなFAガールが商品化されていて、どのキャラクターにもファンがいるシリーズですから、その中から誰かひとりが悪役になるということがないよう、気をつけています。
──ちなみに、劇中のFAガールは、完成済みの素体にアーマーを組みつけていく仕様ですよね。プラモデルの仕様とは違いますが、このような描写となった理由とは?
川口 元がプラモデルといっても、アニメの中ではキャラクターです。そのキャラクターがバラバラになっているというのは絵としてよろしくないな、という思いがあって、このような描写になっています。バトルでも腕が取れたり、壊れたりという描写がないのも同じ理由ですね。
千葉 はい。そういった事情から、アニメの中では実際の商品とは異なる、ああいった完成した素体に装甲を組みつけるという表現にしています。
──なるほど。ちなみに、あの世界におけるFAガールはどのように普及しているのでしょうか?
川口 作品の世界ではごくごく簡単な命令を実行するだけのFAガールが市販されているという設定で、武希子が知っているのはそちらのFAガールです。あおの元に来た轟雷をはじめとするFAガールたちは、AS(人工自我)を搭載して自己成長していくことができるようになっている、次世代モデルの試作機という設定ですね。
千葉 そういう意味では、本作は世界観やSF考証などについて、本編で語られていないだけでかなり詳細な設定がある作品でもあります。充電くんやセッションベースなんかもそういったことを考えていくうえで生まれたもので、それぞれしっかりとした設定で裏づけされています。こういった部分については、作品が盛り上がっていく中で少しずつ出していければいいかな、と考えています。
川口 充電くんだけでもアニメが1本作れるぐらいの設定がありますから(笑)。
──それは、ぜひ観てみたいですね(笑)。さて、実際のアニメの制作についておうかがいしたいと思います。
川口 いろいろありましたが、最初の想定とはぜんぜん別の作品になりましたね。現在は作画+3DCGで制作していますが、最初はフル3DCGアニメで、物語もあおのワンルームマンションの中だけで進行するFLASHアニメのような企画でした。さすがにそれだとなー……と。
千葉 それでキャラクター性が出せるのかな、という不安もありました。でも、このキャラクターをこの話で登場させよう、という予定表を作っていくと、どうしても12話全部があおの部屋の中でのエピソードになっちゃうんですよね。
川口 なので、結局最初にザックリとした枠組みだけ決めて、内容についてはシナリオ会議時に皆でアイディアを出し合いました。すると、今度はとても12話に収まらない。実はAパート、Bパートで話が区切られているのもそれらをなんとか12話に収めるための策なんですよ。半分に分ければ倍のアイディアが消化できるじゃない! と(笑)。
千葉 その結果、ひとつひとつの話が短くまとまったのがよかったのかなと思います。「見やすい」「ダレない」という声が多かったですし、前後編にわけたことで余裕ができて、バトルもあれば日常パートもある、という風に、いろいろなエピソードを入れることができたのは良かったです。さすが川口監督、うまくまとめてくれたな、と。
川口 実は途中までまとまるのかどうか不安で、けっこうビビッてました(笑)。あと、たとえば第4話なんかは冷静に観ると実はあおの家の中だけで話が完結しているのですが、前後編で別のお話をやっているので、あまり気になりませんよね。
おもむろにスタートする相撲勝負など、視聴者の意表をつくバラエティ豊かな展開も本作の魅力のひとつ
──その会議で出たアイディアにはどんなものがあるのでしょうか?
川口 「学校にいく」のは、その会議で出たお話ですね。女子高生なんだからさすがに1回ぐらいは学校にいこうよ、と(笑)。あと、無理だったのは「海外旅行にいく」「温泉にいく」ですね……。とはいえ、少し? 舞台を変えましたが、アイディアそのものは生かしました。あと、印象的だったエピソードといえば、「どんぐり」です。
──どんぐり?
川口 赤尾でこさんが作った構成案に、ずっと「どんぐりが出てくる感動話」って書いてあるんですよ。アニメファンにとっては赤尾さんの脚本といえば「どんぐり」らしいですが、なかなか感動的なお話になっています。きっと楽しんでいただけると思いますよ。
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