「アニメ『極主夫道』はアロマ！ほっこり癒しの時間が過ごせます」最新Netflixオリジナルアニメシリーズ「極主夫道」今千秋監督インタビュー

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2021年4月8日よりNetflixにて全世界独占配信がスタートしたアニメ「極主夫道」（原作／おおのこうすけ、「くらげバンチ」（新潮社）掲載）。 “不死身の龍”として恐れられていた主人公の龍は、極道の世界から足を洗い、バリバリのキャリアウーマン・美久と結婚。現在は、主夫の道を極めるべく、毎日の家事を懸命かつ完璧にこなしている。

そんな龍の日常を描くアットホームなギャグコメディ「極主夫道」を手がけた今千秋監督に、本作の制作裏話や、主人公・龍の魅力、本作の楽しみ方などをたっぷりと語ってもらった。

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──　期待通り、本当におもしろかったです。アニメ化の話が出たときの率直な感想を教えてください。

今　お話をいただいた段階で、動かないアニメの手法でやるということは聞いていました。「Back Street Girls　―ゴクドルズ―」で経験した手法だったのですが、今回は大変さがパワーアップしていました（笑）。

──　具体的に大変だったところはどこですか？

今　漫画で描かれるアクロバティックで大きな動きの表現です。例えば、包丁で“タタタタタタッ”と素早い動きをするところを、止めた画で動いているように見せるのは、とても大変でした。コンテをやるにしても、何をやるにしても「Back Street Girls　―ゴクドルズ―」の何倍も時間がかかりました。

──　前作の経験が生きて、楽にできたのかなと想像していました。

今　私もやる前は「楽勝だぜー！」と思っていたのですが、とんでもない感じになっていましたね（笑）。

──　原作を読んだ時は、どんな印象を受けましたか？

今　数人のお友達からおもしろい漫画があるよ、と聞いていたので作品は知っていました。アニメ化するにあたり、改めてきちんと読んだのですが、正直最初は、龍のキャラが読み切れていないところがありました。やっていくうちに、龍の立ち位置は“ボケ”であることに気づき（遅っ！笑）、自分の中で整理がついた感じです。

──　監督が惹かれる龍の魅力を教えてください。

今　母性本能をくすぐられるところです。一生懸命なところとか大好きです。たとえば、原作の美久と牧場に行ってお弁当を食べるシーンで、結構はしゃいでいることをツッコまれながら否定してみたいなやりとりをして、最後はちょっとキレ気味に「はしゃいでるよ！」と認めるところは、「素直だな、カワイイな、コイツ！」って思っちゃいました。

──　龍役の津田健次郎さんが、監督・主演を務めた実写版PVも話題になりました。

今　「やられちゃってるよ」と思いました。チャリンコのシーンとか「エフェクトかっこいいよ！」って感心しちゃいました。

──　演出面も響いたのですね。津田さんの声がつくことで、龍の魅力がグーンと増しましたよね。

今　ドスの効いたボイスが最高です。極道ボイスからのたまに出るかわいい声とか、すごくかわいいと思いません？

──　思います。キュンキュンしまくっています。龍以外にも個性豊かなキャラクターが登場します。私はスーパーで働く姐さんとか大好きです。

今　姐さんはおいしいキャラですよね（笑）。出番が多いのは、雅とか虎だけど……。姐さんを出されたら……、マニアックだけどクッキング教室の先生とか、結構好きです。しゃべり方とか、こういう先生いそうだなという雰囲気がいいなと思います。

──　原作のおおの先生も仕上がりに大満足というコメントを寄せていました。

今　本当ですか？　もし、そうだったら本当にうれしいです。先生自身がアニメ化をすごく楽しみにしていたようなので。とはいえ、先生が想像していたアニメとはちょっと形状が違う気がしているのですが、本心はどうなんでしょう（笑）。

──　原作を最大限に生かした演出というコメントを見かけました。

今　そう言っていただけたら、一番の成仏です！

──　OPとEDの映像もインパクトありますね。

今　OPは、J.C.STAFFの撮影監督が担当してくれました。若い子はさすがセンスが違うなと思いました。テンポ感とか切り替えのタイミングとか、すごくカッコよくしていただいたので大満足です。

──　龍は完璧に家事をこなしますが、監督の得意な家事はありますか？　龍タイプなのか、バリバリ忙しく働き、苦手な家事はまかせた！という美久タイプなのか教えてください。

今　（家事は）やらなきゃいけないので、やってはいるのですが、雑です。美久タイプですね。包丁の持ち方とか近いところがあります。まず、シラフで料理することがないので、できあがる頃にはめんどくさくなって、予定したのと違うものができあがっています（笑）。龍はきちんとやっていて偉いなと、いつも思っています。

──　では、龍がいてくれたら、うれしいですね。

今　ご飯を作ってくれる人、掃除をやってくれる人がいれば最高ですね。裁縫も雑巾を作るのもダメだし、洗濯物をたたむのも好きじゃない。あれ？　ダメばっかりじゃないですか、私！

──　龍のようにかわいいクマさんのクッキーを焼くのはいかがですか？

今　とんでもない！　お菓子なんて無理すぎです。何にもない……（泣）。あっ、原作で龍が主夫をサボるエピソードがあります。あれなら勝てます！　サボるのなら負けません！　今後アニメでも出てくるエピソードなので、楽しみにしていてください。

──　改めてアニメ「極主夫道」はひとことで言うと、どんな作品でしょうか？

今　今日生まれた名言がありまして～。えっへん。アニメ「極主夫道」はアロマです。ガチガチに構えて観るアニメが多い今の世の中で、そこまで構えて観なくてもいいタイプの作品かなと思って。

──　実はおもしろすぎて、ガッツリ構えて観ちゃいました！　監督作品の“間”とか“テンポ”が大好きで、それこそ、姿勢正してじっくり観ました。

今　ホントですか！？  ヤッター！ ありがとうございます！！ ２回めはぜひ、気負わずに、休憩タイムのように、なんなら寝る前にアロマを焚くように、Netflixをつけて、「極主夫道」を観ながら眠りにつく。そんなほっこりした時間を過ごしていただけると嬉しいです。「極主夫道」で癒されてください！

（取材・文／タナカシノブ）